エンボス(浮き出し)・デボス(型押し)

エンボスで紙が破れる、割れてしまう ― 解決策3つをご紹介

課題エンボス加工の際に紙が破れる、または表面が白く割れてしまう
解決策① 紙の選定
②版仕様の変更
③ 仕立ての変更

ご相談内容

「デザイン通りの深さでエンボスをかけると、絵柄の角から紙が破れてしまう。圧力を下げると今度は形状が出ない」

エンボスでは、深さと紙の耐久性がぶつかるこの相談を多くいただきます。

なぜ紙が破れるのか

エンボスは、雄型と雌型で紙を挟み、繊維を伸ばして立体を成形する加工です。紙は「押し込まれる」のではなく「引き伸ばされて」形になります。

紙が伸びられる量には限界があり、それを超えると繊維が切れて破れます。破れの手前では、コート層が白く割れる、角に筋が入るといった症状が出ます。これらは限界が近いサインです。

伸びの量を決めるのは、深さそのものよりも立ち上がりの角度です。同じ深さでも、角度が急なほど狭い範囲に伸びが集中し、破れやすくなります。角のR(丸み)が小さい場合も同様です。

解決策

1. 紙の選定

紙によって伸びる量は大きく異なります。

  • 嵩のある非コート紙は繊維の絡みに余裕があり、伸びやすい傾向にあります。一方、コート紙は表層が先に割れやすく、白化が出やすくなります
  • 坪量が低いほど破れやすくなりますが、厚ければ良いわけではなく、厚すぎると形状のシャープさが失われます
  • 紙目の向きも影響します。細長い絵柄では、紙目に対する向きを変えるだけで結果が変わる場合があります
  • 含水率も無視できません。乾燥した紙は伸びにくく、季節や保管環境によって同じ紙でも結果が変わります

テストは必ず本紙で行うことをおすすめします。

2. 版仕様の変更

①版の材質の変更

雄版と雌版を金属同士の組み合わせで破れが発生する場合、雄版を樹脂版に変更することで改善する場合があります。
樹脂版の方が金属版より柔らかく、エッジも緩やかなため、圧力を吸収するかつ、エッジによる紙への負荷が軽減されます。
耐久性優先で雄版を使用する場合には、エッジを少しだけ丸める処理にも対応しています。

②版の設計、細かい仕様の変更

意匠の印象を保ったまま紙の負担を減らすには、立ち上がりの角度を寝かせる、角にRを取るという調整が有効です。伸びが広い範囲に分散され、同じ深さでも破れにくくなります。

深さの異なる要素が同一版面にある場合は、部位ごとに深度を変えて設計します。
ツジカワでは、今まで培ったノウハウで、加工時の再現性やトラブル回避できるような深度設計をしています。

また複雑なエンボスで使用される、ニュークリアダイという型取成型雄版を使用することで、雌版との組み合わせが良くなり、安定した品質での生産が可能となります。

③雄版と雌版のクリアランスの調整

対策として一番有効なのが、クリアランスの調整です。
細かい絵柄であれば、デザイン自体を少し太らせ、クリアランスを確保したりします。

雄型と雌型のクリアランスが紙厚に対して不足していると、紙は伸びる前に挟み込まれ、破れます。紙を替えたときにクリアランスを見直していないケースは少なくありません。 見当がずれている場合も、片側にだけ応力が集中して破れの原因になります。

3. 仕立ての変更

紙や版で対策はしたが、それでも解決しない場合は、フィルムやプレスボードなどの資材を使用して調整する手段もあります。
ツジカワでは箔押し機を2台所有しているので、試作の段階で最適な仕様を見極めることも可能です。

紙や版の仕様によっても再現性は変わります。絵柄の精細さと生産ロットに応じて、適した仕立てをご提案します。

最後に

エンボスの仕上がりは、紙・深度・圧力・仕立て・絵柄の組み合わせで決まります。ひとつを変えれば他の最適値も動くため、条件を一律に決めきれない加工です。

ツジカワは長年にわたり、エンボス版・雌型を製作してきました。図案の段階からご相談いただければ、深度や立ち上がり角度を含めた設計をご提案できます。

エンボスのお困りごとがあれば、ツジカワにご相談ください。