箔押し(ホットスタンプ)

箔押しで細かい文字や図柄が埋まってしまう ― 解決策4つをご紹介

課題細い文字や線の多いデザインで、箔が図柄の外にはみ出し、文字のふところや線と線の間が埋まってしまう
解決策① 熱伝導率の高い銅版への切り替え
② 箔の選定
③ 圧胴仕立ての調整
④ デザインデータの修正

ご相談内容

箔押しに関するご相談の中でも、特に多い内容です。

「細い書体のロゴで、文字のふところが箔で埋まってしまう。温度や圧力を調整しても改善されない」

なぜ細部が埋まるのか

箔押しは、熱と圧力で箔の接着層を溶かして基材に転写する加工です。細い線や小さな文字は接触面積が小さく、転写に必要な熱が伝わりにくいため、現場では温度を上げて対応することになります。

しかし温度を上げれば、図柄の周囲にある箔まで接着してしまいます。線と線の間隔が狭いデザインでは、この余分な箔がつながり、埋まりとして現れます。「細部を出すために上げる」と「上げると埋まる」が同時に成立してしまう状態です。

この現象は、熱の伝わり方と箔の切れ方の問題です。設定の追い込みだけで解消できる幅は限られています。

解決策

1. 銅版への切り替え

マグネシウム版をお使いの場合は、銅版への切り替えをおすすめしています。理由は2点あります。

理由① エッジが立っている

マグネシウム版に比べてエッジが立つため、箔切れが良くなります。絵柄以外の部分に箔が転写されにくくなり、細部の埋まりを抑えられます。

理由② 熱伝導率の違い

銅の熱伝導率は、箔押しの版材によく使われるマグネシウム、亜鉛、真鍮のおよそ2〜3倍。版面全体に熱が速く均一に回り、連続稼働で奪われた熱の回復も速いため、より低い温度・短い加圧時間で細部まで転写が成立します。温度を上げずに済むことで、周囲の箔の接着を抑えられます。

多数個取りで版面に温度差が出やすいレイアウトにも有効です。

2. 箔の選定

顔料箔は顔料層と接着層が厚く、蒸着タイプのメタリック箔に比べて箔切れがシャープになりにくいため、細部の埋まりが起きやすくなります。意匠として成立するなら、タイプの変更は効果の大きい打ち手です。

また、同じ色味でも硬めの箔と柔らかめの箔があります。箔の厚さは4〜6μm程度と非常に薄いのですが、離型層・着色層・蒸着層・接着層というレイヤー構造になっており、接着層の厚みや離型層の種類によって紙との相性が変わります。一般的には硬めの箔のほうが文字は埋まりにくいとされていますが、条件によって変動する場合もありますので、詳しくは箔の仕入先にご確認ください。

3. 圧胴仕立ての調整

クッションが柔らかい、または厚いと、加圧時に基材が版の肩に沿って回り込み、図柄の外側にまで箔が接触します。仕立てを硬めに振る、下敷きの枚数を見直すことで改善します。

ただし、最適な仕立ては絵柄・紙・箔の条件によって変わります。少しずつ振りながら、埋まりとカスレの両方が出ない範囲を探すことになります。

4. デザインデータの修正

版を製作する前に、データ側で吸収できる部分があります。

  • 線と線、文字と文字の間隔を確保する
  • 細すぎる線幅を、加工可能な最小幅まで太らせる
  • ふところの狭い書体を、同系統の別書体に置き換える
  • 版の側に逃がし彫りを設け、余分な箔が接触しないようにする

意匠の印象を変えずに調整できる範囲は、図案を拝見すればご提案できます。版を製作してから対処するより、確実で早い方法です。

お取引先様には「ツジカワ箔押再現見本」もお渡ししております。営業までお声がけください。

最後に

箔押しの仕上がりは、熱・圧力・版・箔・紙・デザイン・仕立てといった条件の組み合わせで決まります。そのため「この場合はこうすればよい」と一律には決めきれない加工でもあります。

ツジカワは長年にわたり、数多くの箔押し加工会社様に版を製作してきました。そこで蓄積したノウハウをもとに、箔押しやエンボスの工程改善もお手伝いしています。

箔押しのお困りごとがあれば、ツジカワにご相談ください。