立体感のあるエンボス加工の事例|印刷なしで写真集の表紙を表現【神創美鳥】
2026年7月中旬刊行予定、写真家・飯井マユミ様の写真集 『 神創美鳥(しんそうびちょう) 』
表紙の彫刻エンボスを弊社にてお手伝いさせていただきました!
目次
- 彫刻エンボス依頼の経緯|デザイナー様からの相談
- 加工パートナー コスモテックとの協業体制
- 印刷なしのエンボス加工|高低差で生み出すディテール表現
- エンボス用の3Dデータを制作|羽根・毛並みの再現
- データを忠実に再現する彫刻技術|凹版・凸版の製版工程
- 真鍮の凹版・樹脂の凸版が完成
- エンボスに適した紙選定(竹尾「ワイルドFS」)
- 試し押しによる事前検証(圧力・仕立ての調整)
- コスモテックでの加工立ち会い・最終調整
- 完成したエンボス表現|羽毛・皮膚の質感まで再現
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彫刻エンボス依頼の経緯|デザイナー様からの相談
デザインをされたiD.(アイディー)泉屋宏樹様は、以前からツジカワの彫刻版によるエンボス加工に注目いただいていて、今回の写真集にはぜひ「彫刻版でのエンボスを!」とのことでご連絡をいただきました。
いつも以上に気合を入れながら受け取ったデザインは、本の表紙のため297×135mmと大判な上、印刷なしのエンボス加工のみという、難易度のとても高いものでした。
これは、加工会社様との連携が不可欠…!!
この難題を共に乗り越えるパートナーとして、東京の有限会社コスモテック様に白羽の矢が立ちました。
加工パートナー コスモテックとの協業体制
なんと、今回ご相談いただいたiD. 泉屋様は、ツジカワ×コスモテックで加工を行った京都国立近代美術館 「 さわるコレクション 」のサンプルもお持ちのエンボスマニア!コスモテック様のこともよくご存じでした。
プロジェクトメンバーが揃い、いよいよ大きなチャレンジに向けて動き出します。
京都国立近代美術館 「 さわるコレクション 」より、竹内栖鳳 『 春雪 』
日本画の作品を、アーティスト・中谷ミチコ様の手で石膏によるレリーフ化したものをもとに、エンボス加工で表現させていただきました。
詳しくはコスモテック様note記事よりご覧ください!
ツジカワ×コスモテックといえば、こんな大作も!唯一無二の彫刻エンボス 〜コスモテック様アートポスターに、ツジカワが提案したこと〜
印刷なしのエンボス加工|高低差で生み出すディテール表現
iD. 泉屋様には、表紙デザインと合わせ、どの部分を目立たせていきたいか、高低差のイメージを共有いただきました。
しかし、細部に関しては「ツジカワさんにお任せします!!」と、絶大なる信頼をいただき制作がスタート。
ツジカワのデザイナーの腕の見せ所です。
印刷が入る場合は写真のディテールを活かし、細かな毛はエンボスでは表現しすぎない方が柔らかく見える場合もありますが、今回はホワイト一色。
大きな羽根はもちろん、ペリカンの頭部のふわふわとした印象を表現するため、繊細な毛並みも一本一本作成。
くちばしや皮膚のニュアンスもそれぞれ丁寧に調整し、全体を形作っていきます。
エンボス用の3Dデータを制作|羽根・毛並みの再現
完成したレリーフデータをお送りしたところ、iD.泉屋様、著者の飯井マユミ様のお二人共に、とてもお喜びいただき「感謝の気持ちを直接伝えさせてください!」とZOOMを設定いただけるほど。
営業を通してお言葉をいただくことは多くとも、デザイナーが直接お客様に会う機会は少ないので、とても光栄なことでした。
データを忠実に再現する彫刻技術|凹版・凸版の製版工程
完成したレリーフデータは、加工に最適な工具と加工方法を熟知した職人たちによって版へと仕上げていきます。
NC彫刻後の凹版は、羽根の一枚一枚まで手作業で仕上げ、エンボス加工では必要不可欠な、反対型となる樹脂の凸版も製作していきます。
真鍮の凹版・樹脂の凸版が完成
エンボスに適した紙選定(竹尾「ワイルドFS」)
今回使用した紙は「ワイルドFS 220kg」(株式会社竹尾)
エンボスは紙を持ち上げて表現する技術のため、使用する紙によって仕上がりが大きく左右されます。
コスモテック・青木様にエンボス適正の良い紙を複数ご提案いただき、ツジカワ社内にある別版で試作。
紙の厚みやエンボスの手触りが選定の決め手となりました。
試し押しによる事前検証(圧力・仕立ての調整)
コスモテック様での加工の際は、iD.泉屋様、著者の飯井マユミ様のお二人が関西からはるばる来てくださることに!
難易度の高い彫刻エンボス版ということで、事前にツジカワの工房にてマイスター・ワタナベが試し押しを実施。加工の仕様検証を行いました。
深度の深い部分は、シワが出たり切れてしまう部分が出てきてしまったため、仕立ての種類を変えたり、圧力を変えたりと試行錯誤。
「これなら大丈夫だろう!」と思えるところまで試作を続け、立ち合い当日は問題なく校正が出来るようコスモテック様の現場へ伺い仕様を共有。
今まで難題を突破してきたコスモテック様なら、いいものに仕上げてくれる!と信じ、当日を迎えました。
コスモテックでの加工立ち会い・最終調整
完成したエンボス表現|羽毛・皮膚の質感まで再現
大きな羽根も細かな毛並みも、隅々までしっかり再現。
真っ白でありながら、紙に落ちる影が表情豊かにペリカンの姿を彩ります。
制作を終えて
今回お話をいただいたときから、社内では「すごいものができるぞ…!!」という期待でいっぱいでした。
工程が進むごとにその期待は確信となり、完成へのワクワクがさらに大きくなっていきました。一方で、期待だけが先行してしまわないよう、気を緩めることなく取り組みました。
また、今回の案件を通じて、加工会社様との協力体制の重要性を改めて実感しました。最終仕上がりのイメージを共有し、課題に対して一緒に知恵を出し合うことで、より高い品質の作品を作り上げることができました。
iD.泉屋様よりいただいたコメント
先日は素敵な時間をいただき本当にありがとうございました!
版を見た時のドキドキ感、興奮を抑えるのが大変でした。
ものづくりに大切な事をはじめ、版画のお話できた事も心から嬉しく楽しかったです!
あれからもう1週間過ぎましたが、毎日エンボス作品に触れています(^_^)
見れば見るほど彫刻、製版の繊細さ、質感に引き込まれていきます。
私の無理難題にも果敢に挑戦していただけたチームツジカワ増島さんはじめ
渡辺マイスター、渡邉さんの想い、熱意、技術に感服しております。
見えないところかもですが渡邉さんの製版作業、運転などありがとうございました!細かなフォローアップと空気つくり、とても気持ち良かったです。
皆様が喜んでいただけるものをつくれるよう頑張ります。
重ね重ね皆様に心から感謝いたします。
コスモテック・青木様よりいただいたコメント
この度、極めて難易度の高い「彫刻エンボス加工」を、コスモテックにてお手伝いさせていただくことになりました。
加工立ち会いの数日前、ツジカワの渡辺職人がわざわざコスモテックの現場までお越しくださり、彫刻版の丁寧な取り扱い方から、「今回の複雑で繊細な図案に対して、どのように加工のアプローチをすれば最も美しい仕上がりになるか」まで、惜しみなくご教示いただきました。
正直に申し上げますと、図案を最初に見たときは、加工に長年携わる者であっても「これは… かなり厳しいなぁ」「もしかしたら困難かもしれない」と、一瞬臆してしまうほどの、非常に高度でチャレンジングなお仕事でした。
細かな凹凸や微妙な陰影表現、圧力のバランスなど、どれ一つ取っても妥協が許されない難しい要素が詰まっています。そんな中、ご依頼いただいたお客様が遠方よりわざわざコスモテックの現場までお越しくださるという事情も考慮され、ツジカワ様が貴重な事前準備の時間を設けてくださったことが、本当にありがたかったです。
渡辺職人による実演と丁寧なレクチャーを通じて、課題となっていたポイントが次々と明確になり、解決策も見えてきました。ツジカワ様の高い製版技術と、職人としての真摯な姿勢に、心より感謝申し上げます。
「本当に勉強させていただきました。ありがとうございました!」
お声がけくださったiD.泉屋様・飯井マユミ様、素晴らしい加工をしてくださったコスモテックのみなさま、誠にありがとうございました!





























