日本パッケージデザイン学生賞「あ~んニマル」具現化ストーリー―社長は我らに試練を与えたもう―
こんにちは!ツジカワです!
先日レストランに行ったらとんでもなくかわいいおしぼり袋(しかもバリエーション豊か!)あったので、全部もらってきて写真を撮りました。


はい、すみません、嘘です。
実はこちらは日本パッケージデザイン学生賞2024の大賞を受賞した、伊東未夢さんの作品「あ~んニマル」をツジカワが具現化したものなのですッ!!!
開封すると動物の顔になるお手拭きのパッケージは、動物に餌をあげる心理を利用し、使用済みのお手拭きを袋に戻すよう促します。これにより感染症のリスク軽減や机上を可愛く美しく保つ効果があります。子供の遊び道具としても活用でき、従業員の片付けの手間を軽減します。利用者の環境・従業員の環境・感染症が蔓延する環境が「かわる」デザインです。
実際にファミレスとかでこのおしぼり出てきたらめっちゃテンション上がりますよね。大人も子ども喜んで使用後のおしぼりを袋に戻してくれそうです。こんな感じで開きます↓
日本パッケージデザイン学生賞について

天面を飾る箔押しにツジカワのマジックエンボスが採用された。
ツジカワの取り組みをお伝えする前に、日本パッケージデザイン学生賞についてご説明します。
学部もデザイン経験も関係なく、学生なら誰でも参加でき、プロのパッケージデザイナーに作品を審査してもらえる、というとっても間口が広いコンペティション。
ツジカワはそんなパッケージデザイン学生賞を2023年から協賛企業としてサポートしてきました。
過去の取り組みはこちら↓↓
ツジカワが学生のデザインを具現化する理由
さて、協賛企業各社は協賛金だけでなく、受賞者への様々な副賞を用意しています。
ツジカワが受賞した学生に対して用意している副賞は「大賞作品およびツジカワ賞作品の具現化」です。

日本パッケージデザイン学生賞2023 大賞作品
「ボーッと入浴剤 」
Designer : 綾野裕次郎
この具現化、という副賞。
社長の案なのですが、実は(私を含む)作製チームの社員は毎年戦々恐々としております。

エイプリルフールで社長をメダル化した話
なぜなら、どんなデザインが大賞を取るかは、審査会が終わるまではわからないからです。
食品がくるか、化粧品がくるか、文具が来るか、はたまた見たことないものが来るのか・・・!
企業賞である「ツジカワ賞」に関しては、弊社に選択決定権があるため、ある程度見通しを立てることができるのですが(それでも作るのは大変)、大賞作品はそうはいきません。
昨年の具現化の経験から、社長に
「具現化・・・正直言って大変っす。」と意を決して伝えたところ
穏やかな笑みを浮かべながら社長はおっしゃられました、
「大変やからこそ頭使ってどうすればええか考えてほしいんや。」
Oh,社長は我らに試練を与えたもう・・・
ツジカワが学生作品を具現化する意図の中には「学生のモチベーションアップにつながる取り組みで将来のパッケージ業界を盛り上げて行きたい!」
という目的に加えて
「頭を使って、色々なところに協力を仰ぐことで社員に成長していってほしい」という社長の願い(試練)も込められていたのでした。
ツジカワと伊東さんの邂逅
ところでこの「あ~んニマル」の作者、伊東未夢さんは、実はツジカワと深いつながりがあるのです。
嘘のような本当の話なのですが、伊東さんは前年の学生賞(2023)でツジカワ賞に輝いた方なのです。
つまりツジカワが伊東さんの作品を具現化するのは2回目(スポンサー歴2年なのに)。

この時点では作者の名前も属性もわからない
審査会では公平な審査を行うため、名前を含めて作者の属性は一切公表されません。
そのため、大賞作品決定後、お名前を確認し、そのドラマチックさに思わず声が出てしまいました。

ご縁を感じずにはいられない・・・!
贈賞式で伊東さんは、
昨年の学生賞を通した取り組み(JPDA学生コンペ委員による企業研修やワークショップ等)、ツジカワの具現化の取り組みにも触れながら
2023年度ツジカワ賞受賞後、多くの大人とかかわる機会が増え、
彼らが楽しそうに働く姿をみて社会人になるのが楽しみになりました。
と語ってくれました。
本学生賞に携わった多くの大人が
「貴殿、人生何週目?」
と思うほどのスピーチでした。

大量生産のものを少量生産しようとすると、単価がめちゃめちゃ高くなるという当たり前のことを身に染みて感じるの巻
さて、昨年の紙器パッケージ(扇子ちゃん)とは違い、今回の作品はおしぼり袋です。

3D画像のため、イチからツジカワが具現化していった

あ~んした口に使用したおしぼりを戻すようにデザインされている。
大量生産となると、弊社のダイカットロールのような円形の刃物でシール圧着・カットなども考えられたのですが、今回は超少量生産。

回転式の刃物で大量生産の効率化を助ける。
「ぐぬぬ・・・」と頭を抱えていたところ学生賞の協賛企業である、王子キノクロス株式会社様から、おしぼりを生産されているグループ会社様をご紹介いただきました。
そもそもおしぼり袋やおしぼりに対する知識がほぼなかったため、webミーティングにて製袋方法等をお伺いすることができて非常に助かりました。
普段何気なく使用しているおしぼり袋ですが、あれだけ大量に生産するから安価なのであって、少量生産するとなるととんでもなく単価が高くなるんだなぁ、と社会人一年目みたいなことを身に染みて知ることになりました。
(マン)パワーがすべてを解決する。
諸々の事情を鑑みた結果、「全部外注でラクラク作戦☆」の夢は潰えました。
つまるところ、、、結局頼れるのはマンパワー(労働力)。
今回も東京デザインセンターのデザイナー・スズキに手を動かしてもらって作成するしかない。という結論に至りました。
印刷は極小ロットのパッケージフィルム印刷に対応している株式会社中川製作所様にお願いしました。
予算の都合上、印刷後の製袋作業はツジカワで行うこととしました。
結果的に、データ作成から、印刷後のカット、おしぼり封入、製袋は全て社内で行うこととしました。









伊東さんへのご報告
紆余曲折ありながらも、すばらしいクオリティで出来上がったおしぼり袋。
印刷がキレイ&フィルムが厚めでしっかりしているため、高級感もあります。
ぜひ伊東さんともこの感動を共有したい、ということでzoomで製作の経緯等をご説明させてもらうことに。

「あ〜んニマル」とても可愛らしく作製していただき、本当に胸がいっぱいです!!丁寧にご準備いただいたことが伝わってまいり、拝見できたことを大変嬉しく思っております。 大切に活用させていただきます。
多くの方々のご協力をいただき、今年も無事に具現化作品が完成しました。
毎年異なる発想と熱意に出会えるこの取り組み、今年はどんな学生作品が選ばれるのか、今から楽しみでなりません。