微細レーザー加工の底力!学生賞「つきてらす」再現の舞台裏
こんにちは!ツジカワのカタヨセです!
突然ですがバチバチにイケてるお団子のパッケージを作りましたのでちょっと見てください。
お団子の紙器パッケージ
こちらは香川大学 倉橋芽生様の作品
「つきてらす~うさぎのお月見団子~」です。
ツジカワは彫刻をコア技術として、金型や刃物作製、レーザー彫刻、果ては3Dプリンター造形と、なんか、ほんと色々やっている会社なんですが、パッケージ制作会社ではありません。
そんなツジカワがなぜ今回このパッケージを作ったのか。
それはツジカワが日本パッケージデザイン学生賞をスポンサーとして応援しているからです。
日本パッケージデザイン学生賞とツジカワについて
日本パッケージデザイン学生賞 は公益社団法人日本パッケージデザイン協会(JPDA)が主催する、学部もデザイン経験も関係なく、学生なら誰でも参加でき、プロのパッケージデザイナーに作品を審査してもらえる、というとっても間口が広いコンペティションです。
ツジカワの学生賞への取り組みは こちらから!
つきてらす~うさぎのお月見団子~をツジカワ賞に選んだ理由

倉橋芽生
パッケージに変化させる楽しみと変化する意味を持たせたいと考え、月が満月に変わる過程を連想させるパッケージを考えた。
月明かりの下で月見団子を食べる情景を想像し、満月になると開いて月見団子が出てくるようなデザインにした。
また、開いた時の楽しみとして商品名である「つきてらす」の元となる短歌とお月見のイラストを入れることでより風流な十五夜になるようにと考えた。お月見を家で楽しむ人は家の中でも「つきてらす」の月を見ながら月見団子を堪能してもらいたい、外で楽しむ人はお弁当感覚で「つきてらす」を持って出かけてもらいたいという願いをこめてパッケージをデザインした。
審査会でこの作品を拝見し、「ただの包装にとどまらず手元に置いておきたくなる美しいデザイン」に魅かれ、こちらの作品をツジカワ賞に選出しました。

また、一方で、ツジカワの技術をフルに活用してこの作品を具現化したらきっと見たことがない豪華なパッケージができるに違いない!という、「作品の具現化」を掲げるツジカワならではの理由もございました。

回転式の箱ってどうやって作るの・・・?!
具現化に際してまずは、倉橋さんとミーティングを行い、倉橋さんが作成したモックをお預かりしました。


見ての通りすでに完成度が高いこのモック作品。
ちなみに私は、具現化する!となって初めて回転機構になっていることを知りました。
こ、こんな箱作れるの・・・・?!と内心慌てましたが、我々にはとても心強い味方がいるのです。
早速、前年扇子ちゃんの具現化でもお世話になった株式会社泰清紙器製作所様にご相談してみたところ、「やってみます!」と前向きなお返事をいただけて本当に安心しました。

回転軸に使用されているのは実は爪楊枝!!!
泰清紙器製作所様には設計だけでなく、紙の選定や印刷等、めちゃくちゃご協力いただき非常に助かりました。
色校でイメージの月に近づける
設計が固まったので印刷データの作成と色校正を行います。
天面に使用した印刷データはNASAが公開している高精彩な月の画像です。

こちらの画像を使用して、倉橋さんのモックに近づけるべく色味調整を行いました。

倉橋さんに色校正をしていただいたところ一番イメージに近く、絵本の月っぽさがあってよい、とのことで②が採用されることとなりました。
ツジカワだからこそできる具現化を!レーザー彫刻版に挑戦
さて、今回の作品の中でツジカワの技術を用いて独自性を出せる点といえば、ずばり「月のエンボス」です。
彫刻版で迫力たっぷりにモリッと盛り上げる案もあったのですが、回転機構があるパッケージのため、あまりやりすぎるとエンボス部分が引っかかったり、こすれたりする可能性があります。しかしせっかくならツジカワの技術を生かしたものを作製したい・・・!
ということで今回採用された技術が「レーザー彫刻による微細加工」です。

鉄(SK材)なのでとても重い
レーザー彫刻技術は、物理的な工具で削る切削加工とは異なり、レーザー光によって金属表面を彫刻する非接触の加工法です。加えて、切削加工に比べてより微細なパターンが要求されることが多いため、加工には相応の時間を要します。

実はこの型、加工面積が非常に大きいため、レーザー加工だけでもなんと100時間以上を要しました!
さらに、元データが画像だったため、凹凸の深さや質感を調整する「テクスチャーデータ」もツジカワで一から作成。

レーザー加工を請け負っている業者は多々ありますが、画像データからテクスチャーデータの作成、微細レーザー加工までをワンストップで請け負えるのは長年加飾に携わってきたツジカワならではの技術であるといえます。
関連記事: 【ツジカワの5軸レーザー彫刻】複雑形状の金属にも高精度な微細加工を実現空押しで月のクレーターを再現してみよう!
紙と型がそろったので、さっそく天面の空押し加工に取り掛かることにしました。
今回は下型を用いず、上型を紙に押し当てる加工のため、「空押し(からおし)」と呼ばれる加工になります。
弊社の定義では、エンボス=浮き出し(絵柄が凸で浮き上がる加工)としています。逆に絵柄を押し込む加工は「デボス(型押し)」と呼んでいます。
ここらへんの話はこちらの記事をご覧ください!
エンボス加工とは?デボス加工とは?版の種類や仕組みを徹底解説!
加工をしてくれるのはもちろんツジカワのエンボス・箔押しマイスターワタナベ!
ツジカワのエンボス・箔押しマイスター ワタナベに関してはこちらご覧ください!
・【保存版】 箔押しマイスターが教える!箔押し前の準備いろいろ
・【保存版】箔押しマイスターと検証! 箔押しトラブルにはコレをやってみよう!
まずは印刷紙にレーザー彫刻版で空押ししてみました。

一気に増す立体感!!

レーザー版による微細な凹凸を紙でどこまで表現できるか不安でしたが、実際に空押ししてみると、まるで“月の標本”のようなリアルさに。
平面とは思えないほどの立体感が生まれました。
そしてせっかくなので箔押しを加えたバージョンも作成してみることにしました。
今回のレーザー版は面積が大きく、深度が深いこともあり、そのまま箔押しとしては使用できないので、別版で箔押し後、レーザー版で空押し加工を施します。

角度によって色が変わる。神秘的な雰囲気がすてき!
箔押ししたものは、箔によってだいぶ雰囲気が変わるものの、輝度がプラスされるため、よりレーザー彫刻版の微細な凹凸がわかりやすくなりました。

冬の月を思わせる静謐さ!
最終的には「偏光箔+空押し」「クリア箔+空押し」「印刷+空押し」の3種類で箱を作ることとしました。
高精彩3Dプリンターでお団子をつくる
倉橋さんのモックには紙粘土で作られた可愛らしいお団子が入っていました。

学生賞はパッケージがメインとはいえ、大型~精密まで数々の3Dプリンターを保有しているツジカワ。やっぱりここもツジカワで再現したいじゃない!?
ということで中のお団子も3Dプリンターで作成しちゃいました。

黒いのはあんこ・・・ではなくサポート材
そして完成したのがこちら!

つまんでひょいと口にいれたくなるとんでもなくかわいいお団子が誕生しました。
※積層ピッチが狭く、樹脂の密度が高い3DP造形物ため、実際につまんで口にいれると歯が欠けます。
「つきてらす~うさぎのお月見団子~」完成!
ついに日本パッケージデザイン学生賞2024 ツジカワ賞「つきてらす~うさぎのお月見団子~」の具現化が完成しました。




それぞれの美しさがあります。
倉橋さんにご報告
紆余曲折ありながらも、すばらしいクオリティで出来上がったこちらのパッケージ。
ツジカワとしても渾身の出来栄えとなりました。
作者の倉橋さんに現物を送付したところ、下記のようなご感想をいただきました。

多くの方々のご協力をいただき、今年も無事に具現化作品が完成しました。
毎年異なる発想と熱意に出会えるこの取り組み、今年はどんな学生作品が選ばれるのか、今から楽しみでなりません。